第4回 気候形成・変動機構研究連絡会


日時: 2024 年11月14日(木)18:00〜20:00

   ※気象学会秋季大会の専門分科会「古気候ダイナミクス研究の最前線と課題」と同日開催

場所:つくば国際会議場

テーマ古気候プロキシ研究と気候科学の融合

プログラム

 1. 趣旨説明 松本淳(東京都立大学)

   2. 中川毅(立命館大学) 「本邦初公開! 水月湖の本気の古気候データ
             08~48 ka(n=2701、平均解像度14.8年)」 

 3. 芳村圭(東京大学)「プロキシデータ同化と古天気データ同化を用いた
            ミレニアム大気再解析プロダクトの作成」 

  4. 総合討論

趣旨: 北半球中高緯度地方の大陸上での過去の氷河拡大期が明らかにされることから始まった古気候の研究は,世界各地での深海底や氷床コアー等の古気候プロキシデータの分析により,連続的変化の様相が明らかにされてきた.この際に鍵となる年代は,炭素同位体等により誤差を含んで決められてきた.近年福井県の水月湖の湖底から1年単位での年代決定が可能な過去7万年位以上に及ぶ年縞堆積物が発見され,古気候復元に用いられる世界標準での年代目盛を提供することで,過去に生じた気候事変の年代を正確に決められるようになってきた.一方,天気予報に用いられる大気大循環モデルから発展した気候モデルは,⼤気海洋結合モデルや氷床モデル,植⽣モデル,物質循環モデル,雲システム解像モデルなど,様々なサブシステムとの相互作用を組み入れたり,世界各地からの古気候プロキシ情報を同化したりすることで,古気候の再現精度を向上させてきた.

このように近年急速に進展してきた古気候研究について,今回は過去百~数千年間を主対象として,水月湖での年代目盛りの決定と気候プロキシの創出を行っている中川博士と,世界各地での古気候プロキシデータの同化による長期再解析モデルの構築を行っている芳村博士のお二人から基調講演としてご紹介いただき,総合討論では古気候研究におけるプロキシ研究と気候科学との融合をめざす際の問題点と今後の展望について議論する機会としたい.

コンビナー・司会:松本淳(東京都立大学)、遠藤洋和(気象研)