2019年1月の気象学会の第40期第6回理事会において,以下の趣旨に基づく「気候形成・変動機構研究連絡会」の発足が認められましたのでお知らせします.
【趣旨】
本分科会は,過去・現在・未来の気候に関する研究者が,対象とする時代や領域に関わらず,一堂に介することにより,気候諸現象の形成を軸として気候の形成過程に内在する物理過程について情報交換できる場を創出することを目指しています.ここで言う気候諸現象とは,日本の気候に密接に関係する現象を指します(例:梅雨前線,太平洋高気圧,チベット高気圧,ITCZ,ENSO,アジアモンスーン,オホーツク海高気圧,台風,秋雨前線,シベリア高気圧,アリューシャン低気圧,海氷,積雪や凍土,日本周辺の海域の海流や海水温度等々).
気候変動研究の根幹である気候諸現象の発現・変動機構を,最新の知見を援用し,今日的な気候科学のフレームワークの中で整理・統合することは,喫緊の課題である自然災害のリスク管理に科学的根拠を与えることが期待されます.現在の気候諸現象の研究は,熱帯,中緯度,極域,メソ,季節予報,温暖化予測,古気候プロキシといったように,個々の専門分野の中で,急速な発展を遂げています.そこで,本研究連絡会は,気候変動・変化研究の基盤である気候形成に着目し,様々な時代や地域における素過程について,専門分野の垣根を超えて,議論・整理するプラットフォームとして機能することを目指します.
気候研究は本質的に大気以外のサブシステムとの相互作用の研究が重要であります.特に海洋圏,陸圏,生態・人間圏をも含む「系」として捉えることが必要です.本研究連絡会においても関連分野との積極的な交流を推進します。日本気象学会員以外の関連分野(日本海洋学会,日本雪氷学会,日本地理学会等)からの参加,または共催などを歓迎し,日本地球惑星科学連合の大気水圏科学セクションにおいて,関連学協会とのリエゾンとしての機能を本研究連絡会が担っていく所存です.
【参加費】本連絡会の会合の参加に際しての徴収は行いません。
【資格】日本気象学会の会員、非会員を問いません。
【世話人】
代表:植田宏昭(筑波大学)
副代表:谷本陽一(北海道大学)、立花義裕(三重大学)
事務局:遠藤洋和(気象研)
今田由紀子(気象研),榎本剛(京都大学),梶川義幸(理化学研究所),川村隆一(九州大学),小坂優(東京大学),高谷康太郎(京都産業大学),野沢徹(岡山大学),藤波初木(名古屋大学),本田明治(新潟大学),前田修平(気象研),松本淳(首都大学東京)*五十音順
ホームページ:
http://www.geoenv.tsukuba.ac.jp/~iccv/index.html
日本気象学会 「天気」2019年9月号 掲載記事
日本海洋学会 JOS ニュースレターの紹介記事(谷本陽一)