研究室のテーマ
地表面近くの水に係わる諸現象の解明を行っています.たとえば,大気ー地表面相互作用.乱流輸送,放射といった微気象的なテーマ,蒸発,蒸散と植生の水利用との関係を明らかにする生態系水文学的な内容,流域の水収支や水文現象と様々な環境問題との関係を明らかにする流域水文学的な研究などを幅広く扱っています.詳細は,このページ下部の「様々な取り組み」や「研究室メンバーの論文」を参照下さい.
対象フィールド
現在,霞ヶ浦を主要フィールドとしています.霞ヶ浦の研究紹介動画はこちら(外部リンク:YouTubeへ).
それ以外でもテーマに応じて様々な取り組みを行うことができます.また,野外観測を行わないデータ解析,モデルの研究もあります.この場合,これまでの研究で得られた貴重なデータを用いてモンゴルやエジプトなどを対象にすることも出来ます.
また,留学生の場合,自国の問題を扱う場合も多くあります.
研究室メンバー
当研究室に所属する学生・院生は,同時に水文科学担当の教員が集まる筑波大学水文科学研究室のメンバーになります.水文科学研究室では,各教員の研究室を束ねた全体ゼミ「水文学演習(通称:学群ゼミ)」(学部生向け),「水文科学演習(通称:院ゼミ)」または「流域環境研究室(H26年度からは水文科学演習と合同で開催)」(以上大学院向け)のいずれかにも参加することになります.この仕組みにより,個別教員による「徒弟制度」的な密な指導と,複数教員指導体制による様々な視点からの指導を受けることができます.
研究室独自のゼミ
毎週1回開催.各回1名が担当して研究の進捗状況を報告してもらいます.これが同時に全体ゼミでの発表の練習にもなります.
最近の研究室メンバーの論文
年 | 論文種別 | 著者 | タイトル | ページ数 | 論文へのリンク |
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2023 | 修士論文(理工情報生命学術院・生命地球科学研究群・環境科学学位P) | Duong Hong Nhung | Flood Hazard Risk Assessment in the Downstream Area of the Ba River Basin in Vietnam | 126 | |
2023 | 博士論文(生命環境科学研究科・地球環境科学専攻) | Chao ZANG | Contrasting Contribution of Surface and Groundwater Discharge to the Water Balance of a Lake and a 10 km2-scale Volcanic Catchment: Lake Yamanaka Catchment, Japan | 215 | |
2023 | 卒業研究(地球学類) | 井坂 | 稲田・ハス田の用排水量を考慮した霞ヶ浦の水収支 | 87 | |
2022 | 修士論文(理工情報生命学術院・生命地球科学研究群・環境科学学位P) | Yi | Influence of Human Activities and Climate Change on River Runoff in the Onogawa Basin, Ibaraki Prefecture, Japan | 76 | |
2021 | 卒業研究(地球学類) | Rhein Lawas | Change in evapotranspiration with elevation in Lake Yamanaka basin on the north-eastern slope of Mt. Fuji | ||
2021 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | 石川 | 渦相関法とバルク法を用いた霞ヶ浦湖面における二酸化炭素フラックスの測定 | 141 | 論文アーカイブ |
2021 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | Iuma Bani | Sand Mining Influence on Flooding along La Colle River in Port Vila, Vanuatu | 86 | 論文アーカイブ |
2021 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | Abdul Jabbar | Runoff and Inundation Characteristics in a Watershed with Mountains and Flat Areas Analyzed by a Hydrological Model | 161 | 論文アーカイブ |
2021 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | 稲垣 | ひまわり8号熱赤外データを用いた霞ヶ浦における水面温度の推定 | 74 | |
2021 | 修士論文(生命環境科学研究科・地球科学専攻) | 河出 | 霞ヶ浦西浦における湖流と熱分布特性の解明 | 210 | |
2021 | 卒業研究(地球学類) | 川瀬 | つくば市蓮沼川流域における都市化に伴う河川流出特性の変化 | 50 | 論文アーカイブ |
2020 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | Trinh Dinh Duy | Impact Assessment of Climate Change on Irrigation Water Requirements for Agriculture in the Ma River Basin in Thanh Hoa Province in Viet Nam | 113 | 論文アーカイブ |
2020 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | Wang Jingyuan | Direct Measurement of Turbulent Fluxes on a Pleasure Boat over Lake Kasumigaura | 122 | 論文アーカイブ |
2020 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | Hakim Md Samiul | Characteristics and Causes of Surface Temperature Variability Obtained by ASTER sensor in Summer Season over Lake Kasumigaura | 66 | |
2019 | 卒業研究(地球学類) | 大北 | 火山地域におけるタンクモデルを用いた一時河川の挙動解明 | 45 | 論文アーカイブ |
2019 | 卒業研究(地球学類) | 河出 | 霞ヶ浦西浦における貯熱量の空間変動の解明 | 65+1 | |
2019 | 卒業研究(地球学類) | Abdul Jabbar | Direct runoff estimation using SCS-CN method in Lake Toba Catchment , North Sumatra, Indonesia | 65 | 論文アーカイブ |
2019 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | 黒江 | リモートセンシグデータを用いて算出されたエジプト・ナイル川における蒸発量の季節変化 | ||
2019 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | 池田 | ひまわり8号衛星データを用いたスプリットウィンドウ法による霞ヶ浦水面温度の推定 | 49 | 論文アーカイブ |
2018 | 修士論文(生命環境科学研究科・地球科学専攻) | 小川信平 | 霞ヶ浦西浦における熱収支と熱分布特性の解明 | 160 | 論文アーカイブ |
2018 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | 畢 世明 | 湖水と地下水の交流関係を踏まえた山中湖水収支の解明 | ||
2017 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | LE VIET MINH | A Study of Drought Management for Ben Tre Province in the Mekong Delta, Vietnam | 73 | 論文アーカイブ |
2017 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | CHU MINH THU | Evaluating Drought Indices for Agricultural Drought Monitoring in Gia Lai Province, Vietnam | 74 | 論文アーカイブ |
2017 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | Khonsavanh | Dissolved Inorganic Carbon Loads from Rice and Lotus Fields to Lake Kasumigaura | 71 | 論文アーカイブ(加筆版) |
2017 | 卒業研究(地球学類) | 黒江 | リモートセンシグによる水面温度を用いたナイル川の蒸発量推定 | 83 | 論文アーカイブ |
2016 | 卒業研究(地球学類) | 池田 | 密閉式チャンバー法を用いた冬期夜間の水蒸気フラックスの規定要因の解明 | 92(加筆版) | 論文アーカイブ(加筆版) |
2015 | 卒業研究(地球学類) | 原田 | 二酸化炭素・温度・比湿測定に基づく大気-湖沼間のフラックス分布の推定-霞ヶ浦土浦入りを対象として- | 85 | 論文アーカイブ |
2014 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | 辻 | エジプトナイルデルタ地域の圃場における 二酸化炭素フラックスおよび炭素循環 | 122 | 論文アーカイブ |
2014 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | 山本 | 霞ヶ浦流域の環境変化と水収支:1970 年代と現在の差異 | 71 | 論文アーカイブ |
2013 | 卒業研究(地球学類) | 渡邊 | 霞ヶ浦支流域における土地利用変化が水・熱収支に与える影響の解明―園部川・小野川流域を対象として― | 93 | 論文アーカイブ |
2013 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | Minh | Assessment of the Impacts of Climate Change on Water Allocation in the Upper Cau River Basin-Vietnam | 126 | 論文アーカイブ |
2013 | 卒業研究(地球学類) | 高橋 | 渦相関法による霞ヶ浦湖面における二酸化炭素フラックスの測定とその変化要因の考察 | 113 | 論文アーカイブ |
2013 | 卒業研究(地球学類) | 吉田 | モンゴル北東部ステップ地域における放牧圧の分布特性の解明―GPS による動物移動調査を用いて― | 146 | 論文アーカイブ |
2013 | 修士論文(生命環境科学研究科・地球科学専攻) | 魏 | Estimation of Surface Fluxes Using Bulk Transfer Methods over Lake Surface: An Example of Lake Kasumigaura | 184 | 論文アーカイブ (提出後の修正を反映したもの) |
2013 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | 清水 | Study on the Effectiveness of Windbreak Trees for Reduction of Evaporation in an Agricultural Land in the Nile-Delta, Egypt | 158 | 論文アーカイブ |
2012 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | 福田 | ナイルデタの農地における蒸発散量評価 および蒸発抑制対策効果の検証:夏季のトウモロコシを対象とした例 | 107 | 論文アーカイブ |
2011 | 博士論文(生命環境科学研究科・地球環境専攻) | Byambakhuu | Study of Ecohydrological Responses to Global Warming and Grazing Pressure Changes in Mongolian Semi-arid Region | 246 | 論文アーカイブ |
2011 | 卒業研究(地球学類) | 清水 | エジプトナイルデルタにおける防風林の蒸散量の評価 | 143+付録 | 論文アーカイブ |
2011 | 卒業研究(地球学類) | 入柿 | ナイルデルタ周辺の大気水収支と雲分布の特徴 | 241+付録 | 論文アーカイブ |
2011 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | 松野 | 灌漑方法が異なる耕作地における安定同位体比とチャンバー法を用いた蒸発散の地面蒸発と蒸散への分離 | 83+付録 | 論文アーカイブ |
2011 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | 土平 | エジプト・ナイルデルタの耕作地における水文モデルを用いた蒸発・蒸散量の評価 | 99+付録 | 論文アーカイブ |
2011 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | 横山 | モンゴルの半乾燥草原地帯における炭素収支の経年変化とその環境要因 | ||
2010 | 卒業研究(自然学類) | 福田 | ナイルデルタの農地における蒸発散量の評価 | 74 | 論文アーカイブ |
2010 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | 吉澤 | モンゴルの乾燥・半乾燥地域における持続可能な水利用に関する研究 | 97 | 論文アーカイブ |
2010 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | 伊倉 | 衛星データを用いた霞ヶ浦湖面における蒸発量分布の推定 | 130 | 論文アーカイブ |
2010 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | 宮野 | バルク式を用いた湖面におけるフラックスの算出 | 86 | 論文アーカイブ |
2010 | 修士論文(生命環境科学研究科・環境科学専攻) | 佐藤 | Study on Vapor Transfer Processes into the Atmosphere from Vegetated Surface in an Arid Region | 98 | 論文アーカイブ |
2008 | 修士論文(教育研究科) | 阪口 | モンゴル半乾燥地における夜間地表面フラックスの特性 | 101 | RAISE Database掲載 |
2008 | 修士論文(環境科学研究科) | 後藤 | 東アジア広領域における陸域蒸発量の経年変化とその環境要因の解明 | 130 | RAISE Database掲載 |
2008 | 修士論文(環境科学研究科) | 吉井 | モンゴルの半乾燥草原地域において放牧が炭素動態に与える影響 | 110 | RAISE Database掲載 |
2008 | 卒業研究(自然学類) | 宮野 | 霞ヶ浦湖面におけるフラックスの測定と評価 | 論文アーカイブ | |
2007 | 修士論文(生命環境科学研究科・地球環境専攻) | 加藤 | Influence of Grazing on Vegetation, Surface Energy and Water Balance over the Mongolian Steppe | 111 | RAISE Database掲載 |
2007 | 修士論文(生命環境科学研究科・地球環境専攻) | Byambakhuu | Assessment of Regional Land Cover Fractions of Mongolian Semiarid and Arid Area Based on Multi-channel Radiance Data. | 86 | RAISE Database掲載 |
2007 | 卒業研究(自然学類) | 塙 | 霞ヶ浦支流域における土地利用が水循環に与える影響についての研究ー水文モデルを用いてー | 109 | 論文アーカイブ |
2007 | 卒業研究(自然学類) | 山田 | 霞ヶ浦流域の水収支と土地利用との関係 | 136 | 論文アーカイブ |
2006 | 博士論文(生命環境科学研究科・地球環境専攻) | 小谷 | Characteristics of Scalar Admixture in the Atmospheric Boundary Layer and Estimation of Regional Surface Fluxes Over Semi-arid Area | 123 | RAISE Database掲載 |
2006 | 卒業研究(自然学類) | 阪口 | モンゴル半乾燥地における夜間蒸発量の評価と推定 | 58 | RAISE Database掲載 |
注:基本的に提出された論文を記録のためにそのまま掲載しています.論文によっては,部分的に不十分な結果,検討不足で終わっているものもあります.論文の内容を資料として使用する場合は注意下さい.
湖沼とその流域の水文プロセスと環境
湖沼は水資源や漁業や観光資源にとって大変重要な位置を占めています.一方,水質の悪化が問題になりやすいのも事実です.たとえば,国内第2位の面積を有する霞ヶ浦は,環境という点ではその水質が長年問題視されてきました.一方,汚染物質の輸送と密接に関係する水文プロセス,水循環過程については,実は必ずしも明確になっていません.その中でも水面からの蒸発は測定そのものがある程度長期にわたってきちんと行われたことはこれまでなく,主にある仮定を置いたモデルによる計算,あるいはパン蒸発計による推定値があるのみです.
霞ヶ浦
2007/6から霞ヶ浦中央部にある国土交通省の湖心観測所で水 蒸気,熱,水,二酸化炭素のフラックス観測を行っています.また,湖心1点での観測がどの程度霞ヶ浦全域を代表しているのか,面的な差異がどの程度あるのかをリモートセンシングデータなどを活用して明らかにしました.さらに霞ヶ浦に流れ込む河川や地下水に着目すれば,流域の一部として霞ヶ浦をとらえることが重要です.このために,流域水収支の実態やその過去から現在への変化などを明らかにしようと取り組んでいます.このための流域の水文モデル化も進めています.
山中湖
山中湖とその流域の問題を2018年より扱っています.山中湖はその流域の大部分が富士山麓であり,表流水が極めて限られているという特色を持っています.このため,山中湖の水の大部分は地下水によって維持されていると考えられます.しかし,降水,蒸発,河川流入,流出などを含む包括的な水文プロセスの研究はこれまで行われていません.そこで,これを明らかにするための調査が始まったところです.
半乾燥ー乾燥域の自然環境
乾燥地域は文字どおり乾燥しています.つまり水が少なく貴重.この貴重な水をどの様に生かして自然環境が成り立っているのかを理解することは重要な課題です.なんといっても,地球上の約1/3の陸域は乾燥,半乾燥気候下にありますから.水を視点にして,植生と水循環の関係,放牧を中心とする人間活動と自然環境,温暖化と水循環の変化などを扱っています.これまで主にモンゴルの草原地帯を対象に研究をを進めてきましたが,2008年度からはアフリカ大陸にも出かけ,エジプトナイル川デルタを扱いました.
ナイルデルタ
「ナイル川流域における食料・燃料の持続的生産」プロジェクト(筑波大 佐藤教授代表).JST-JICA地球規模課題対応科学技術協力事業.作物の蒸発・蒸散という視点から,この地域の農業問題に取り組んできました.主なテーマは,作物と灌漑方法の違いで,蒸発散量がどう異なるか,そして,防風林の節水効果です.2009年-2015年度.無事終了.筑波大学新聞記事.プロジェクト全体の取りまとめた学術図書"Irrigated Agriculture in Egypt: Past, Present and Future"がSpringer社より出版されました.なお,本書籍は,水文・水資源学会よりH29年度学術出版賞を受賞しています.
モンゴル
「人間活動下の生態系ネットワークの崩壊と再生」プロジェクト(総合地球環境学研究所,山村教授代表).モンゴル南部の草原地帯における植生の水利用,放牧での地下水の持続的利用について検討して来ました.2008-2013.無事終了.成果(1):Ecological Research Monographs特集号 The Mongolian Network: Environmental Issues under Climate and Social Changes. 成果(2):モンゴルに関する一般向け学術書「環境人間学と地域 モンゴル 草原生態系ネットワークの崩壊と再生」京都大学出版会より出版
RAISE Project (The Rangelands Atmosphere-Hydrosphere-Biosphere Interaction Study Experiment in Northeastern Asia,北東アジア植生変遷域の水循環と生物・大気圏の相互作用の解明プロジェクト) 2002-2007, JST-CREST 事業 (筑波大学,杉田研究代表者).無事終了.詳細は,2007年1月発行のJournal of Hydrology, RAISE Special Issue へ.取得データはRAISE Database にて公開中.
[筑波フォーラム記事(62号、 2002/6発行)]
地表面と大気の間の熱・運動量・水蒸気などの物質の輸送プロセスや大気乱流のふるまいを扱っています.たとえば,霞ヶ浦での水面上での観測から,水面という風により形状が変化する表面上の輸送プロセスが解明されつつあります.また,草原や森林での観測からは,植物の生長や落葉に伴う地表面の粗さの変化がどんな影響を持っているのかが明らかになります.また,大気境界層は日中地上1-2
kmまで発達しますから,地表面の事を扱う場合でも,上空の条件も重要です.このために航空機やラジオゾンデ,リモートセンシングなどを用いた調査も地表面での観測に加えて実施する必要があります.
TABLE Project (1992-1996,Tsukuba Atmospheric Boundary Layer Experiment) .日本での広域地表面過程観測プロジェクトの先駆けです.つくばという準都市化した地域を舞台に,地表面観測,ラジオゾンデによる境界層観測,航空機観測などが同時に行われました.終了済み
GAME Project (1990-2005,GEWEX Asian Monsoon Experiment, Global Energy and Water Cycle Experiment) における自動気象ステーション (AWS) をアジアモンスーン地域に設置し,様々な地域の水文気象を明らかにしました.取得データはGAME/AAN (Asian AWS Network) Database にて公開中. 終了済み
NOPEX Project (1994 -1995,NOrthern hemisphere climate-Processes land-surface EXperiment).スウェーデンのような北方林でおきている現象は日本のような温帯のものとは違うのだろうか.日本からの唯一の参加チームです.無事終了.研究成果の詳細は,2007年1月発行のAgricultural and Forest Meteorology , NOPEX Special Issue へ.
蒸発や蒸散(合わせて蒸発散)は水文学で最も重要な要素の1つです.水資源的な立場からは,水は蒸発によって失われてしまいますから,望ましくない要素です.しかし,植物の生育にとってはこれは無くてはならない要素でもあります.一方委,測定が難しいので,水文要素の中で最も研究が遅れていた部分でもあります.このため,蒸発と地表面プロセスのモデル化,水の蒸発メカニズムの解明,リモートセンシングデータを利用した蒸発量のマッピングなど,取り組むべき課題は多く残されています.
筑波フォーラム記事(38号、97-99 page, 1994/6, pdf file)]
大陸スケールや地球全体での水の動きを知ることは,非常に重要な問題です.特にその実態を解明し,循環の様子がどの様に変化しているのかを知ることが重要です.様々な観測データを組み合わせ,モデルを利用することでこの困難な問題に取り組んでいます.特に蒸発やエネルギー交換が興味の対象です.