「東京修猷会 会報」第13号 2001年1月1日

「東京修猷会」は私(山下清海)の母校、福岡県立修猷館高校の同窓会東京支部です。

 

自著を語る 『チャイナタウン』

山 下 清 海

 

 私の専門は、人文地理学である。この学問を三〇年近くやってきたが、一向に飽きが来ない。なぜなら、ほとんどあらゆるものが、人文地理学の研究テーマになるからである。

 大学の卒業論文では、「タイの民族地理学」というテーマを選んだ。大学2年の時に、東南アジアをひとり旅して、東南アジアの多民族社会にすっかり魅せられてしまったからである。そして、修士論文では「横浜中華街の研究」を、そして博士論文では、「シンガポールの華人方言集団(広東人、福建人など)のすみわけ」を研究テーマに選んだ。

 これらの研究成果は、『東南アジアのチャイナタウン』(古今書院、一九八七年)、『シンガポールの華人社会』(大明堂、一九八八)などとして刊行した。二〇〇〇年八月末に出版した本書『チャイナタウン』は、これまでの研究をさらに発展させ、グローバルスケールから、世界各地にみられるチャイナタウンと華人(華僑)社会について論じたものである。フィールドワークで作成した世界各地のチャイナタウンの地図を掲載しており、旅行のガイドとしても役立つはずである。

 本書では、まず華人やチャイナタウンの基礎知識を確認した上で、中国南部の華人のふるさと、日本の三大中華街(横浜、神戸、長崎)について考察したあと、東南アジア、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアなどのチャイナタウンについて比較考察を行っている。

 近年、日本人の旅行者もビジネスマンも、世界各地を歩き回っている。その際、「世界中、どこに行っても中華料理店があり助かった」、「こんなところにもチャイナタウンが・・・・」と驚かれた人も少なくないだろう。本書を読めば、世界に広がる華人社会の背景や現状を地域に即して理解できるとともに、チャイナタウンの楽しみ方、中華料理の魅力、華人のバイタリティも、ご理解いただけるのではないだろうか。

 本書の内容をもっと知りたい方は、次のホームページをご覧いただきたい。日本および世界各地のチャイナタウンの写真もカラーで見ることができるし、チャイナタウンに関する基礎知識を試すクイズにもぜひ挑戦していただきたい。
   http://www.maruzen.co.jp/home/pub/chinatown/index.html

『チャイナタウン−世界に広がる華人ネットワーク−』
(「丸善」丸善ブックス86、二〇〇〇年 二三〇〇円」)
 

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