書 評
 

 「月刊 しにか」(大修館書店) 第11巻、第12号(2000年12月)


「亜州書架−新刊紹介」 


チ ャ イ ナ タ ウ ン

-世界に広がる華人ネットワーク-

山 下 清 海  著  

 
《丸善ブックス、 2300円》

  

 閉塞した日常から脱却するために「新天地」を求めるのは、いつの時代の人も同じだろう。
 アジアでとりわけそれに熱心だったのが、古くは「華僑」、現在は「華人」と呼ばれる中国大陸の人々である。

 苦労して海を渡りさまざまな社会的変化にもまれながらもたくましく生きてきた彼らにとって、チャイナタウンは日常生活の場であり、自らの文化を守る「第二のふるさと」であった。
 しかし中国大陸を知らない世代が華人の多くを占める現在、チャイナタウンは「観光地」としての側面も持つようになっている。
 また、地縁・血縁的つながりが色濃かった時代の面影を言葉や味に残しつつ、チャイナタウンは現地文化、さらにはそこに新しく移り住んできた人々の文化と融合し、さまざまに変化している。

 そんな「チャイナタウンの今」−−巨大経済集団としてひとくくりにされがちな華人の精神的よりどころ−−を筆者自らが体験し、華人の精神性や伝統文化も含め紹介しているのが本書である。

 特に「アジアを代表する」とも言える食文化に関しては日本、東南アジア、欧米の各エリアごとの料理の違いなどわかりやすく網羅しており、日本の三大中華街についてはその沿革も詳しい。