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2005年カリフォルニア巡検

2005年7月4日~13日に行われた斎藤功先生退官記念カリフォルニア巡検のレポートです。




ワイン班 カリフォルニアワイナリー紀行
~1日1本,3日で3本(それですむのか??)~


はじめに

 燦々と照りつける太陽と乾いた空気は,容赦なく人から水分を奪ってゆく。人はそのなかで,黒に白に連なる無数の小さき惑星群を育み,渇きを癒す。

 カリフォルニア。そこはアメリカ最大の,そして世界でも名だたるワイン産地。地理を学ぶ者が,ましてや農業に注目する者が,黙って見過ごすなどということがありえようか。むしろワインのために,当カリフォルニア巡検に参加した者も多いに違いない。とりあえずそう信じたい。カリフォルニアを北へ南へ,東へ西へと渡り歩き,一面のブドウ畑に目を凝らし,ほとんどわからぬ英語に耳を傾け,ほのかに漂うワイン樽の香りを嗅ぎ,無言で騒ぐ舌に甘美な液体を触れさせる。ああ,これぞすばらしき人生。

<カリフォルニアワインの基礎知識>

  • アメリカ国内ブドウ栽培面積:374,000ha,
  • うち,カリフォルニア州だけで297,914haを有し,国内生産量の90%を占める
  • 政府の認定する139のAVA(American Viticultural Areas)のうち,82地域がカリフォルニアに集中しており,大規模なワインメーカーと,高級ワインを生産する小規模なワイナリーの両方が存在している。(参考文献:『日本ソムリエ協会 教本2002』)

1日目(2005年7月5日):目の前のブドウは何処へ? 不遇のベイカーズフィールド

 今回のカリフォルニア巡検の目玉は,班単位によるベイカーズフィールド(と周辺)での現地調査。筆者を含む5名(教官:田林 明先生・呉羽正昭先生,院生:中村裕子・星 政臣・淡野寧彦)は,事前の計画時点から「ワイン班」の結成を実現していた。事前準備の段階で,同地にはGiumarra社という広く青果物の生産・販売を行う企業のVineyardが存在することを発見。早速,調査依頼状を送付し,先方からの対応を待っていたものの,ついぞ連絡は返ってこず,現地での電話でも答えはNO。晴れ渡ったベイカーズフィールドには,すでに暗雲が立ち込めていたのであった…。

 このままでは初日からワインを飲むことができなくなる…,もとい,調査ができなくなるのは大変好ましくない(ということにしておく)。そんな我々に一筋の光明が差したのは,現地の商工会に登録されていた唯一のワイナリー「Oildale Winery」の存在であった。

 だが,教えられた住所へおもむくもそこはオフィス機器販売会社と倉庫。恐る恐る,出荷作業中の従業員に尋ねる。「うちらOildale Wineryでワイン事業のこと教えてもらいたいんやけど,ここでええの?」(会話はもちろん英語ですが,筆者の独断により訳語にアレンジを加えております)。従業員答えていわく,「まかしとき」。こうして事務所内で待たされること約15分,恰幅のいい男性,テリーが現れた。早速,聞き取り開始。それによれば,ワイン事業を始めたのは2002年3月。だが,自らブドウを栽培しているわけでもワインを生産しているわけでもなく,契約しているワイナリーで瓶詰めされたものに,自社のラベルを貼って販売しているだけというワインマーケティングカンパニーである。さて,事業開始からまだ日が浅いこの会社。事業者自身,これまでワイン事業に関係があったわけでもないらしい。となると,「なんでここでワイン販売やり始めたんや?」という質問が思いつくのは当然のこと。聞いてみると,「趣味や」。もう何も聞かずともよい…。その後,この男性の親がオクラホマ出身だとか,男性自身がかつて神戸で野球のコーチをしていたといった話が出ていたが,筆者の関心はあくまでワインであるため,割愛する。実際にワインそのものを見せてもらうこともできた(写真1)。


写真1

 主力商品は赤のカベルネ・ソーヴィニヨンと白のシャルドネだが,他にも赤のシラーやスパークリングワイン,ビールなども販売しており,全部で年間約2,000ケース,96,000本を販売している。販売本数のほとんどはカベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネで,各900ケース程度であり,主に2本をセットにしてギフトパックとして販売している。主な販売地はテキサス,フロリダ,ジョージア,ノースカロライナ,サウスカロライナの各州である。なお,地元のステーキハウスでもこの会社のワインを置いているところがあった。ちなみに,主力商品の赤ワインに描かれている人物の名前が「ババ(BUBBA)」であったことから,田林 明教授による「In Japan, ババ is old woman, ジジ is old man」というハイブロウギャグにテリーがやたらと興味を示していたことを付け加えておく。そしてテリーは,説明をしがてらおもむろに箱を開け,我々に6本ものワインを提供してくれた。人生で見習うべき人物,ミスターテリー。Thank you very much!! ところが倉庫内は30度をはるかに超える気温下にあり,宿に戻って飲んでみたワインはすっかり変質していたのであった。要するに,売れ残りだったのね。しかし,そんなワインの余り2本が,ご丁寧にギフトセットに詰められたまま居残り院生へのお土産になったことは,渡米した一部の者のみが知ることである注1)

 さて,丁重にテリーに礼を述べた我々は,まだ時間に余裕もあったことから,直接Giumarra社に押しかけることにした。そして,目指す先には確かに同社の事業所やブドウ畑があったのだが…。「10年前にワイン生産はやめたらしいわ」との警備員の宣告により,我々は引き下がることを余儀なくされたのであった。


写真2


写真3

 こうして,実際的な見入りに乏しい日を過ごした我々にとって,もはやベイカーズフィールドを離れて遠出すること以外,明日の調査への希望は残されていなかった。移動中にしばしば目にした広大なブドウ畑が,なんとも恨めしい1日であった注2)

2日目(2005年7月6日):ちょっとそこまで? サンタマリアバレーへの冒険

 片道200マイル(約320km)を往復するというと,日本でなら「ずいぶん遠くまで」となるだろうが,アメリカだと「まあ,行けそう」となるのが,かの大国の魔力。いやむしろ,ワインの魔力というべきか。

 ベイカーズフィールドでの調査が早々とネタ切れになった以上,ワイン生産の盛んな近隣の地域に足を運ばねば,ワイン班の存続は危うい。最も近いのは,北へ100マイルほど離れたフレスノだが,西方のサンタバーバラ方面にワイナリーが集中しているという情報をすでに持っていた我々は,旅立つことを決意した。

 午前8時に出発し,到着が11時過ぎとなる大移動である(もちろん帰りにも同じ時間がかかる)。交代で運転していただいた先生方,ほんとにありがとうございました。ちなみに移動途中は「景観観察」。移動するにつれ,植生が変化する様子や地形などをしっかりとチェックした往路であった(復路は省略…)。

 我々が目指したサンタマリアバレーは,ワイン産地としてはカリフォルニア州最大のセントラルバレーの南部に位置する。アメリンとウインクラーによるワイン産地の気候区分では,フランスのボルドーなどと気候の類似する地域とされ,高級ブドウ品種の栽培にも適した産地である。我々が訪れたのは,細かな地域区分では「サンタマリアバレー」と「サンタイネズバレー」と呼ばれる地域に当たるが,本文ではサンタマリアバレーと総称しておこう。

 サンタマリアバレーのワイナリーは少々わかりにくいところに存在しており,一度は少し離れた観光地化された村のほうに着いてしまったものの,その後,無事到着することができた。最初に訪れたワイナリーは,FIRE STONE。運良く,始まったばかりのワイナリーツアーに潜り込むことができた(写真2,写真3)。


写真4


写真5

 このワイナリーはサンタマリアバレーのなかでもかなり規模の大きいところで,メルロー,シラー,リースリングを中心に13種類ものブドウ品種を栽培している。栽培面積もワイナリー周辺に400エーカーほどあるというような話だったが,よく聞き取れなかった。なんにせよ,話を聞いたので次は試飲である。アメリカでは試飲に金がかかるところが多いらしく,ここでもグラス代金5ドルを支払って赤白各3種類のワインをテイスティングする仕組みになっていた。ちなみに味のほうは,説明が困難なので割愛ということで。所詮筆者も,ブラックチェリーやらカシスの風味を感じるだのといった説明ができるほど舌が肥えているわけではない。とはいえ,ようやく公式行事でワインにありつけたので,ワインを2本ほどお土産に購入した。うち1本はそれなりに値のはるものであるが,うっかり帰り道の車中にて「修論の最初の投稿が終わったお祝いに飲む」などと宣言してしまったため,当分の間眠りについてもらうことになりそうである注3)

 FIRE STONE を後にして北へ向かう道には,数々のワイナリーとブドウ畑が広がっている(写真4)。次に試飲をしたのがZaca Mesaというワイナリー。なんでも,アメリカンインディアンの言葉だとか(意味は忘れた)。しかもこのワイナリーでは無料で5種類のテイスティングができる(写真5)。さらに,スペシャルなワインも1人分の値段10ドルを払えば仲間内で共有できるというオイシイ状況。それでは早速,と飲み始めたのだが…。ワイナリーの名前を出しておいて恐縮だが,正直,この味でこの値段は高すぎるだろうという意見で一致。スペシャルなワインは美味しかったが,それでも50ドルは出せませんぜ。他の客とのおしゃべりに夢中な従業員を残し,我々は早々に引き上げたのであった。やはり重要なのは,話ではなくワインそのものの美味しさである。唯一の収穫であるはずの,ブドウ畑の分布図を撮った写真も,しっかりピンボケしていた。


写真6


写真7


写真8


写真9


写真10

 その後は,サンタマリアの市街地に行き,ばかでかいオムレツと大量のポテト,ホットケーキ3枚付きという遅い昼食に閉口した後,もと来た道をただひたすらに引き返す5人であった。

3日目(2005年7月8日):ついにここまで! 魅惑の地,ナパバレー

 班単位での調査活動はこれまでの2日間で終了し(我々の班はいったい何を調査したのだろうか?),巡検メンバー全体でヨセミテ国立公園を経由してサンフランシスコ近郊のバークレーへ到着したのが7日午後8時。翌7日は自由行動日である。8日の朝食時に各人が行動予定を述べ,サンフランシスコ市街地へ行く者と郊外を中心に回る者とに分かれる。市街をゆっくり歩くのも良いのだが,ここまで来ておいて,かのワイン産地「ナパ」に行かないのでは,そもそもアメリカに来た意味がない。むしろ,ワイン班としてさらなる調査活動を行うという,大学院生として実に誉れ高い行為である。結局,車2台に総勢10名ほどの大人数で出発とあいなった。

 バークレーの宿から車でおよそ1時間,市街地にある観光案内所での資料収集の後に,我々はナパのメインロードを北上していく。この道路沿いに,ナパバレーの多くのワイナリーが集中しているのである。まず立ち寄ったのが,筆者がなんとなく名前に記憶のあるワイナリー,Robert Mondavi(写真6)。それもそのはず,カリフォルニアワインの名門として名高く,かつ,かの有名なワイン「オーパス・ワン」をムートン・ロートシルトのバロン・フィリップとともに作り出したワイナリーなのだから(ということを,帰りの飛行機内の雑誌で知りました,はい)。ちなみにオーパス・ワンは,道路を挟んだ向かいに存在している。Robert Mondaviのワイナリーは,建物の美しさのみならず,展示やショップのある内装もきれいに整備されている(写真7)。残念ながらワイナリーツアーには参加できなかったが,院生仲間と共同で2種類のワインを試飲することができた。ここでは,5,6種類のワインをグラス1杯あたり5ドルで試飲する仕組みである。それぞれカベルネ・ソーヴィニヨンとピノ・ノアールのバラエタルワインで,1本あたり40ドルほどするワインだが,その味たるや,自分がすっかり押し黙ってしまっているのを感じるほどに,深い味わいであった。正直,2日前に400マイルも移動したことが少々ばからしくさえ思えてしまった。こうなると,この1本40ドルのワインを買うべきか否かと熟考したくなるのは当然なのであるが,そこは団体行動の辛さ,次に移動するとのお呼びがかかり,結局ワインを買うことなく立ち去ることとなった。

 とりあえず,全員でワイナリーツアーのできるところに1つは行きたい。当巡検の主催者である斎藤 功教授の,そんなご意思に適うと思しきワイナリーを探し,ようやくたどり着いたのがSterling。やたらと立派な門を抜け,木立に囲まれた私道をひたすら走ると,ようやく建物が見えてきた。が,それはなんと山上のワイナリーへと向かうロープウェイの入口なのであった(写真8)。 しかも入場料は1人15ドルと結構高い。とはいえ他をさらに探すには時間もなく,我々は入場を決意した。登った先では,客が自由に歩いて回れる見学通路が整備されており,醸造から樽熟成までの過程を一通り見ることができる(写真9)。平日でありながらそこそこ込み合っているのには少々驚きである。さらにちょっとした展望台があり,山に囲まれた谷あいのブドウ畑を一望することもできる(写真10)。斎藤先生いわく,「こうやって,周りの景観を見ただけでも,15ドルのうち5ドル分にはなったな,えー」とご満悦であった。で,もちろんテイスティングも入場料に含まれている。レストラン風の施設内で,赤白5種類程度を試飲した。 ところが…。白はともかく,赤はまだRobert Mondaviでの味を覚えているので,どのワインも変に中身の抜けた味にしか感じられない。さきほど共同出資して飲んだ院生にいたっては,飲む気すら薄れてしまったらしい。わるいワインではないのだが,明らかに飲む順番を間違えてしまったのであった。こんな感想を持ってしまった以上,お土産として買う気も起こらず,ナパバレーTシャツだけを買ってこのワイナリーを後にした。

 当初の計画では,全体で昼食をとった後,筆者は単独でナパバレーにさらに留まる予定であった。しかし,遅い昼食が終わったのがすでに午後3時であり,ワイナリーは午後4時過ぎにはほとんど閉まってしまう。もはやこれ以上滞在する余地のないことを悟った筆者は,引き続きグループに留まることを志願し,一行はナパの地を去ったのである。

 「考えてみたら,結局オレ1本もナパでワイン買ってないやん」とあらためて気づいたのは,すでに宿に戻った後のことであった。

4日目(2005年7月9日):ええとこ知ってまっせ 斎藤先生のご紹介,Meridian

 カリフォルニア巡検も終盤近くとなり,この日はほぼ完全に移動日。サンフランシスコからサンホセ経由で海岸近くの道路を走り,ベイカーズフィールドまで戻るというなかなかの強行軍。「こりゃ今日は疲れそうだわい」と思って予定を聞いていると,斎藤先生いわく「(前略)…時間があればね,私の知ってるワイナリーにもちょっと寄ってさー…(後略)」。なぬ,まだワイナリーに行く予定があるのですか!? もっと早くそれをおっしゃってくださいよ。昨日のナパの件(ワインを買えなかったことですよ)で,私は結構沈んでたんですから。ささ,早く参りましょう。

 とはいえ,道のりが長いことに変わりはない。朝早くサンフランシスコを出てから,道中には収穫最中のイチゴ畑に押しかけてイチゴをほうばり,さらに「All you can eat」(要するに食べ放題)で昼食をとったりと食べてばっかりのような行程を経て,ようやく目指すワイナリーに到着したのである(結局,また飲み食いする場所であるのだが)。ワイナリーの名はMeridian(写真11)。


写真11


写真12


写真13


写真14


写真15

 設立は1988年である。なんでも,斎藤先生がその名前を見て入ってみたことがきっかけで,何度か来られたことがあるらしい。ちなみにこのワイナリー,我々がナパで見学し損ねたBeringerが所有するワイナリーであるらしく,以前はEstrella Riverという名称であったという(Johnson and Robinson 2001)。見渡す限りの広大なブドウ畑(写真12)。どこまでがこのワイナリーの所有かは定かではないが,生産量はかなりのものだという。まあ,それはそれ。とにかく試飲ですよ,試飲。ここでの試飲も5ドルが必要で,白がピノ・グリとシャルドネの2種類,赤がピノ・ノワール,シラー,カベルネ・ソーヴィニヨンの3種類,いずれもバラエタルワインの計5種類が味わえる。まずは白ワイン。夏でも比較的冷涼なサンフランシスコから,数時間のうちに砂漠のように暑いところまで戻ってきた我々にとって,ひんやりとした白ワインは心地よいひとときであったと記憶している(写真13)。ご覧なさい,ワインのおかげで皆さんいい顔してるでしょ(写真14)。さて,この白ワインは意外と白ワインっぽくないだの,むう,この赤ワインは変化球かもといった話をしていると,試飲の相手をしている従業員の若い兄ちゃんが突然,「ワインの感想を言うてみい」と私にのたまってきたのである。 筆者に最大のピンチが訪れた。とはいえ,沈黙は敗北宣言である。仕方がないので,「うむ,シラーやカベルネはいかにもその品種の味みたいなのが出てるけど,ピノ・ノワールのほうは今まで飲んだのとは違うおもしろい味になってますなあ」などと適当な英語を並べ立ててごまかしておいた(写真15)。兄ちゃんのほうも,「それがこの土地のピノ・ノワールの典型的な味や」などと話していたが,2人の間に確かなコミュニケーションが発生したのかどうかは,今もって定かではない。とはいえ,このピノ・ノワールがいちばん気に入ったのは事実であり,おまけに1ケース単位で買うと48%offという破格の値段であったため,筆者は果敢にもケース買いに踏み切ったのであった。もちろん,共同購入者を募っての購入であったが,この後筆者は約10本のワインを抱え,太平洋を横断し,日本へと舞い戻ったのである。なおこの場合,すでに多くの方が実践済みかと思われるが,「何か申告するものはありますか?」との日本の税関における問いかけに対し,「ありません」ときっぱりにこやかに返答することが人生を無難に過ごす方法の1つである。

おわりに

 こうして,カリフォルニアワイン紀行は全行程を終了した。もちろん,ワイナリーで買ったり試飲したりしたワイン以外にも,ホテル近辺の酒屋やスーパーで毎日ワインを買って飲んでいたが,紙面の都合もあり(紙面?),またその程度のことは筆者にとっては日常茶飯事的行為であるため省略する。

 今回のワイン班,またその延長上の活動は,本格的な調査活動には至らなかったものの,以下のことが明らかになったと考え,最後にそれを記しておきたい。

  • ベイカーズフィールドにおいては,ブドウ畑が卓越しているものの,気候的な問題から特に高級ブドウ品種の栽培が困難であるためワイン生産には不向きであり,栽培されているのは生食用やワイン以外の加工用がほとんどである。したがって,ワイナリーの立地もほとんどみられない。
  • サンタマリアバレーやナパバレーなどの例から,ワイナリーは試飲や施設の見学だけでなく,敷地内での庭園の整備などによって,観光的な要素を付加する傾向にある。こうしたワイナリーが集中することによって,ワイナリーめぐりは,その地域における観光の中心として定着していると推察される。
  • ただし,ワインの試飲には通常料金が必要であり,またワイナリーで直接商品を購入しても,小売店で購入するのと大差ないのでは,と感じることも多い。むしろ一部では,割高な商品を中心に販売しているような感さえある。ちなみに,試飲にお金を払っても,何杯か飲んでいるとなんとなくいやな顔をされる。


注1)さらにその後このワインは,院生の間ですら飲む機会に恵まれず,最終的には某学会の懇親会の場に提供されたという恐るべき運命を辿るのである…。
注2)なお,ベイカーズフィールドのかなり南の地区にもワイン工場とおぼしき会社があることを我々は知っていたが,大量生産型の工場に行く気概に欠け,積極的にそこへ行こうと発言するものは誰もいなかった
注3)この原稿を仕上げた2005年12月現在,筆者はすでに修論を学術雑誌に投稿し終わっており,お土産のワインにありつくことができた。現地価格で35ドルするもので味わいはたしかに豊かであったが,とはいえこのくらいなら近所の輸入食品店で3000円のシャトーダルマイヤックあたりでも同等かそれ以上の満足度なのではないかと思われ,結果的に落胆した。なお,投稿したとはいえ,これから先の苦労のほうが大きいことは予想に難くない。

参考文献
日本ソムリエ協会「テキスト」編集委員会 2002.『日本ソムリエ協会 教本2002』飛鳥出版.
Johnson, H and Robinson, J 2001. THE WORLD ATLAS OF WINE. Octopus Publishing Group.


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