秩父盆地と甲府盆地における気温日較差の観測的研究

  • 根岸 もも子, 2016: 秩父盆地と甲府盆地における気温日較差の観測的研究 .

盆地の気温は平野に比べて暑くなりやすく、寒くなりやすい。このような盆地内の大きな寒暖差は広く知られている。盆地地形と気温日較差の関係は、Topographic Amplitude Factor(TAF)の理論で示される。TAFの理論は、同じ密度の物質に同じ熱量を与えた場合、体積が小さい方が温まりやすいという体積効果に基づいて説明される。盆地と平野を比べると、大気の体積は盆地の方が小さいので、同じ日射量が加えられたときには、盆地内の大気の方が温まりやすい。このときの盆地と平野の体積比と気温日較差の比が等しくなるという関係を示したのがTAFの理論である。TAFの理論はこれまで大きな盆地を対象に調査されてきた。

そこで、本研究では観測によって小規模の盆地でもTAFが成り立っているかを調査した。観測は埼玉県秩父盆地と山梨県の甲府盆地を対象とし、2016年9月~12月の観測データと、2014年1月~2016年12月の気象庁の地上気象観測データを用いた。

本研究で実施した、観測データの解析結果と気象庁データの解析結果が異なった。前者のデータを用いて結果では、全ての盆地について温位変化や気温日較差に大きな差はなく、TAFの関係は成り立っていた。一方で気象庁データを用いた結果では、規模が小さい秩父盆地の方が甲府盆地よりも気温日較差がやや大きくなる傾向がみられた。その主な原因は夜間の気温差によることが挙げられた。この2種類のデータについての結果の差は、観測地点の違いによる、夜間冷却の差が原因の一つと考えられる。これらの結果から、小規模盆地でもおよそTAFは成り立つが、夜間の冷却の違いで気温差が生じ、TAFの関係からややずれることが明らかになった。

キーワード: TAFの理論、気温日較差、小規模盆地、観測、夜間冷却