風力発電のランプ現象予測のためのWRFの大気境界層スキーム比較

  • 畔上 泰彦, 2016: 風力発電のランプ現象予測のためのWRFの大気境界層スキーム比較 .

本研究では、2011~2013年を対象期間とし、気象官署・アメダスデータを用いて、北海道の留萌市、根室市、江差町、帯広市におけるランプ現象の発生要因とその地域特性を調査した。その結果、ランプ現象の要因は低気圧の接近・通過が最も多く、以下、冬型起因、高気圧型起因、前線起因の順でその割合が多いことが分かった。ランプ現象の時間帯別頻度分布をみると、ほとんどの要因で朝方に発生しており、ランプアップ現象は総観場の影響が第一の要因であるが、それに加え、日射による地表面加熱によって混合層が発達し、上空の運動量が下層に取り込まれたこともまた要因の1つであることが示唆された。

次に、境界層スキームの違いがランプ現象の予測結果に影響を与えるかを調査するため、境界層スキームの比較を行った。その結果、WRFの2次元理想化実験では、境界層スキームの違いによって混合層高度に違いがあり、YSU、MYNN3rd、MYJの順で混合層高度が高いことが分かった。一方、混合層の発達が最も明瞭に見られ、各スキームの特徴が顕著に出ると考えられる冬型、高気圧型起因のランプアップ現象を対象としたWRFの現実実験では各スキームの計算結果にほとんど差異がなかった。さらには、本研究では、初期値・境界値を変化させた実験を行った。その結果、境界層スキームを変えた影響よりも、初期値・境界値を変えたことによる影響の方が大きく、境界層スキームの違いがランプ現象の予測結果に与える影響は初期値・境界値の違いによる影響に比べて大きくないことが分かった。このことは、どの境界層スキームを選択するかよりも、どの初期値・境界値を使用するかがランプ現象予測のためには重要であることを意味している。最後に、予測精度を比較した。その結果、MYJの捕捉率が最も高く、YSUが最も低く、的中率では、MYNN3rdが最も高く、MYJが最も低いことが分かった。