地形が風下のメソスケールの気象場に与える影響

  • 矢部 優人, 2016: 地形が風下のメソスケールの気象場に与える影響 .

本研究では、冬季の新潟県佐渡島を対象に、モンスーン卓越時に佐渡島がその風下の気象場にどのような影響を与えるかを統計解析、数値実験で調査した。 統計解析では抽出した冬季モンスーン事例を対象に風向・フルード数別に降水分布を求めた。その結果、卓越風向に対応して佐渡島の風下にあたる新潟県新潟市の地域では、降水が周囲よりも少なくなることを示した。しかしフルード数の大きさと降水極小域の分布には関係性は見られなかった。

またフルード数の異なる2つの事例に対して数値実験を行い、その気象場の特徴を調査した。さらにトレーサー実験を行い佐渡島の周囲の風の分布を詳細に求めた。その結果、どちらの事例でも佐渡島の風上の空気は佐渡島を乗り越えた。このことから佐渡島の風上の空気はフルード数の大小に依らず、佐渡島を乗り越える傾向があることがわかった。

さらに佐渡島が風下の気象場に与える影響を調査するために、佐渡の標高を0mにしたPLANE実験と佐渡島の土地利用を海にしたSEA実験をフルード数の異なる2つの事例に関して行った。その結果、再現実験とPLANE実験では降水極小域は形成されたが、SEA実験では降水極小域は見られなかった。これらの気象場を調査した結果、佐渡島はその地形や地表面粗度がその風下に影響を与えており、佐渡島の風下で風速を低減し下降気流を形成することで対流を抑制する力学的効果と、佐渡島上とその風下で顕熱・潜熱フラックスを低減させ対流を抑制する熱力学的効果があることがわかった。