神奈川県箱根町の仙石原で発生する霧の観測研究

  • 浅野 裕樹, 2015: 神奈川県箱根町の仙石原で発生する霧の観測研究 .

要旨

箱根では、霧の発生が交通障害を引き起こし、観光業に悪影響を与えている。そこで、本研究 では、箱根仙石原における霧の発生要因を調査するために、2015 年 10 月 16 日~11 月 28 日に かけての長期観測と、2015 年 11 月 3 日 12 時~11 月 5 日 10 時にかけて夜間集中観測を行っ た。

長期観測によって仙石原で明け方に霧が発生する事例を 10 事例観測できた。そして、これら 10 事例を霧発生の直前 48 時間以内に1降水が有る場合と2降水が無い場合に場合分けし、そ れぞれの霧発生要因について考察した。その結果、1の場合は直前 48 時間以内に降水があるこ と、夜間冷却量が大きい(-3.5°C以下)こと、夜間静穏である(夜間風速 1.0m/s 以下)こと、夜 間の相対湿度が高い(24 時時点で 95%以上)こと、が霧発生要因として考えられ、2の場合は 夜間冷却量が大きいこと、夜間静穏であること、夜間の相対湿度が高いこと、逆転層が形成され ること、が霧発生要因として考えられた。しかし、2の場合については、今あげた 4 つの条件を 満たしていても霧が発生しない事例が 2 事例あり、その他にも霧発生要因が存在することが示 唆された。

夜間集中観測の結果から霧が発生した 4~5 日の特徴は、 (a)霧発生時に芦ノ湖から仙石原にか けて霧が流れていく様子が確認されたこと、 (b)盆地の北西側斜面の水蒸気量が 4~5 日の夜間は 増加したこと、(c) 3~4 日は逆転層が約 200mだったのに対し 4~5 日は逆転層が約 400mまで 発達していたこと、(d)下向きの長波放射が 4~5 日の夜間に増加したこと、(e)4~5 日の夜間は 地上で弱い(10 分平均風速 0.5m/s 未満)南風が卓越していたこと、であった。そして、このよ うな集中観測の結果から、直前に降水が無い場合の霧発生要因として、芦ノ湖からの水蒸気輸送 と逆転層が厚く発達すること、が考えられた。

本研究によって、仙石原で明け方に発生する霧は直前に1降水がある場合と2降水がない場 合の 2 つに分類された。そして、霧発生要因として、1の場合は直前の降水、夜間冷却量、静穏 夜間、夜間の相対湿度が考えられ、2の場合は芦ノ湖からの水蒸気輸送、逆転層の形成および発 達、夜間冷却量、静穏夜間、夜間の相対湿度、が考えられた。

キーワード:霧、放射、湖、盆地、水蒸気移流、逆転層、雨、南風




2016年9月22日韓国
本卒論「箱根における霧の発生過程の調査」が第9回日中韓大学院生フォーラムで1位になりました。

第9回日中韓大学院生フォーラム(The 9th Korea-China-Japan Guraduate Student Forum),
1st Prize(Environmental Sciences III)

会場:Hotel Interciti (Daejeon, Korea)
セッション名:Environmental Sciences III
発表タイトル:Observation Research of Fog which Occurred in Sengokuhara, Hakonemachi, Kanagawa Prefecture in Japan

筑波大学のお知らせページはこちら