砺波平野の局地風の発生環境

  • 小柳 拓真, 2015: 砺波平野の局地風の発生環境 .

本研究では、富山県の砺波平野で発生する、庄川あらし・井波風・医王おろしという、3つの局地風に関する気候学的特徴を統計的に明らかにした。はじめに、現地の郷土資料、聞き取り調査をもとに、本研究における局地風の定義を行った。次に、これらの風がどの月・時間帯に、どのような総観気圧場の時に発生するのかを調査した。その結果、庄川あらしは秋〜初冬(10〜12月)、井波風は春(3〜5月)および秋(10〜11 月)、医王おろしは春(4月)と初冬(12月)に、それぞれ発生頻度が高い ことがわかった。また、庄川あらしはほぼ夜間帯にしか発生しないが、井波風と医王おろしは日中も夜間も発生することもわかった。さらに、庄川あらし発生時には日本列島が高気圧に覆われ、井波風発生時には日本海西部に低気圧、三陸沖〜千葉沖に高気圧が、医王おろし発生時には日本海北部〜北海道付近に低気圧が位置し、大陸側が高圧となる(西高東低型)傾向が明らかになった。なお、井波風発生時には中部地方付近の地上地衡風向が南西となる特徴が見られた。

次に、砺波平野内の地上観測風向風速データをもとに、それぞれの局地風の局地性を調査した。その結果、庄川あらしは庄川の谷口付近、井波風は井波庄川地域でのみ強く吹くことがわかった。井波風には山地による地形効果が強く効いていると考えられる。一方で医王おろしには明瞭な局地性は見られなかった。最後に、各局地風発生時の気温・湿度の傾向を調べた。その結果、庄川あらし発生時には、空気が乾燥する傾向が見られたが、気温には明瞭な特徴が見られなかった。井波風発生時には、気温が上昇し乾燥する傾向にあり、フェーンの特徴が見られた。他方で医王おろしには気温・湿度とも明瞭な特徴が見られなかった。医王おろしは地形効果により引き起こされる風である可能性がある。

キーワード: 局地風、砺波平野、フェーン、地形効果、気圧配置