Urban climate projection by the WRF model at 3-km horizontal grid increment: Dynamical downscaling and predicting heat stress in the 2070’s August for Tokyo, Osaka, and Nagoya metropolies.

  • Kusaka, H., M. Hara, and Y. Takane, 2012: Urban climate projection by the WRF model at 3-km horizontal grid increment: Dynamical downscaling and predicting heat stress in the 2070’s August for Tokyo, Osaka, and Nagoya metropolies. J. Meteor. Soc. Japan., 90B, 47-63. DOI: 10.2151/jmsj.2012-B04, 2012/06/09(謝辞:S5,T2K)(被引用回数:(web of science:13回 google scholar:28回)) .

 本研究では、都市キャノピーモデル(UCM)を導入した水平格子間隔3kmのWRFモデルを用いて、東京・大阪・名古屋都市圏を対象とした都市気候の将来予測実験(2070年代を対象)を実施した。この実験では、全球気候モデルMIROC-Med, MRI, CSIROからの3つのダウンスケールを実施し、これらのアンサンブル平均値を予測結果とした。さらには、予測結果を用いて、東京・大阪・名古屋の住民の熱ストレスを簡単に評価した。

はじめに、WRFモデルの再現性を検証した。WRFモデルは、観測された8月平均気温の空間分布をよく再現した。解析領域全域でのバイアスは-1.2℃で、二乗平均誤差は2.7℃であった。東京、名古屋、大阪におけるバイアスはそれぞれ、-0.6℃、-0.1℃、-0.4℃であった。WRFモデルは、月平均気温分布だけでなく、気温の日変化も良好に再現した。

次に、都市気候の将来予測実験を実施した。その結果、東京、大阪、名古屋における2070年代の8月平均気温は、2000年代現在よりも約2.3℃高くなると予測された。3つのアンサンブルメンバー間の予測の幅は0.4℃あるものの、上記の結果は2070年代になると記録的な猛暑年となった2010年の8月平均気温よりも高くなることを意味している。また、2010年の8月のように、将来においてはほぼ毎日睡眠障害が発生する可能性があることが示唆された。本研究では、ダウンスケール実験から得た結果を用いて湿球黒球温度(WBGT)の予測も実施した。その結果、屋外で激しい運動を中止すべき時間が2000年代の8月では日中の30%であるのに対して、2070年代になるとその時間は63%に増加する可能性があると示唆された。3つのアンサンブルメンバーの予測の幅は13%であった。

最後に、都市のヒートアイランド強度(UHII)を推定した。その結果、東京の8月平均UHIIは1.5℃であり、今後70年間の全球規模の気候変化の影響と同程度であることがわかった。

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