気象学のLESモデルに基づく次世代の風況シミュレーションモデルの開発:ウィンドファーム内の風況予測に向けて

  • 渡邊 慶一郎, 2014: 気象学のLESモデルに基づく次世代の風況シミュレーションモデルの開発:ウィンドファーム内の風況予測に向けて .

要旨

風力発電の出力は風速の3乗に比例しているため,ウィンドファームにおける正確な風況予測は電力の安定供給において非常に重要である.ウィンドファームに及ぼす影響は,地形や気象に加えて風車の後流による効果も大きく関係する.そのような,ウィンドファームの発電量や風況を正確に予測する為に,これまで多くの風況シミュレーションモデルが開発され発展してきた.しかし,非定常風況モデルをベースとした大気物理過程を考慮した気象学モデルに,風車後流の効果を再現できる風車後流モデルを考究した風況モデルは現段階ではない.

そこで,本研究は,ウィンドファームを対象とした正確な発電量予測を最終目標として,現実に近い風の流れが再現できる気象学のLarge-Eddy-Simulation(LES)モデルに,実装可能な時空間分解能を持つ,風車後流モデルの開発を行う. 既存の気象学LESモデルに実装する為にSorensen and Shen(1999)によって開発された風車後流モデルの改良を行った.本研究で行った改良は,気象学LESモデル及び他の風況シミュレーションモデルに風車後流モデルをサブプログラムとして実装し易くし,なおかつ複雑な条件下でも的確に順応することを可能にするために行った.

本論文では,風車後流モデルの改良によって後流域に働く力の変化と,風車から発生する力の変化に重点を置き詳述した.数値計算には,3枚翼アップウィンド型の大型風車を計算対象風車に用いた. 風車特性解析するためスラスト力,回転力,スラスト係数,トルク係数について計算を行い,それぞれについて改良前後での比較を行った.その結果,風車翼の空気力と後流域に働く力のどちらともが改良前より改良後の方が数値減少することが明らかとなった.風車後流域に働くスラスト力についても改良前後で比較を行った結果,回転による効果を模擬的に再現することが出来た.また,改良によって得られた軸・回転方向の誘導速度の数値計算結果も得られた.

キーワード:ウィンドファーム,風況シミュレーションモデル,風車後流モデル,渦理論