マルチGPUクラスタを用いたLESの高速化と 夜間ヒートアイランドに関する研究

  • 高橋 一成, 2014: マルチGPUクラスタを用いたLESの高速化と 夜間ヒートアイランドに関する研究 .

要 旨

 ヒートアイランドの形成には様々な要因があるが,緑地減少や人工排熱などの熱的効果と,建物等から発生する乱流による力学的効果のふたつに大別する事ができ,その寄与について様々な議論が成されている.特に夜間ヒートアイランドは,建物に蓄積された熱の放出などの熱的要因のほか,建物から発生する機械乱流による力学的効果が無視出来ないとの意見がある.しかしながら,ヒートアイランドはその空間的スケールの大きさや構成要素の複雑さから,観測が難しく,数値実験による検証が求められている.

 これまでのヒートアイランドの数値実験では,使用モデルに都市の効果をパラメータとしてモデルに取り入れているため,またモデルの時空間分解能が低いため,夜間の大気が如何にしてヒートアイランドを形成するか詳細なプロセスは分かっていない.  本論文では,夜間の接地逆転層解消によるヒートアイランド形成における力学的効果の寄与について,格子スケール以上の乱流は直接計算するLarge Eddy Simulation(LES)を用いた数値実験を行った.その結果,風速低減効果によって都市内部では熱が溜まりやすい環境が作られることに加えて,建物からの機械乱流が溜まった熱を撹拌することで昇温が生じるとの結論を得た.

 また,LESを用いたヒートアイランドの数値実験には膨大な計算資源と時間が必要になるため,Graphics Processing Unit(GPU)を用いたLESの高速化も行った.その結果,関数ごとの性能は4GPU対4CPU-coreでは1.6倍~55.2倍の高速化を,4GPU対16CPU-coreでは0.4倍~25.1倍の高速化を達成した.タイムステップあたりの性能は4GPU対4CPU-coreでは1.8倍,4GPU対16CPU-coreでは4.3倍の高速化を達成した.

キーワード : 都市気候,ヒートアイランド,LES,GPGPU,CUDA,高速化,並列計算