A climatological study of fog in Japan based on event data.

  • Akimoto,Y., H.Kusaka, 2015: A climatological study of fog in Japan based on event data. Atmos. Res., 151, 200-211. DOI: 10.4157/grj.83.324, 2015/01/01(謝辞: 創生,RECCA) (被引用回数:(web of science:4回 google scholar:4回)) .

本研究では,霧の濃さや種類も含めた日本全国の霧の統計調査を行い,日本で発生する霧および濃霧の出現分布やその季節性や継続時間,霧の濃さと地形や土地被覆の関係について統計調査をおこなった.さらに,霧の長期変動についても議論を行った.以下に,日本全国の霧の1)出現地域,2)霧の濃さと地形・土地被覆との関係,3)季節性,4)継続時間,5)種類,6)長期変化について,順にまとめる.1),3)〜4)については,霧の濃さによる違いについても述べる.

1)日本における霧の多発地域は,内陸部の数地点と関東以北の太平洋沿岸地域である.濃霧の多発地域は,おおよそ霧の多発地域と一致する.ただし,北海道の太平洋沿岸地域では,霧日数は多いにもかかわらず,濃霧はほとんど発生しない地点が見られる.これは,海霧の侵入が多い太平洋沿岸地域では,比較的大きい霧粒が多く,視程があまり低下しないためと考えられる.
2)霧の濃さは,気象官署の周辺の地形特性や土地被覆に依存する.山地や盆地では,視程が悪化することが多く,視程障害発生日のうち,山地では半数近くが濃霧,盆地では半数近くが準濃霧である.日本の大都市では,視程障害の発生日のうち,霧にまで発達するのは2割以下で,ほとんどもやである.
3)日本全国では,霧は暖候期に最も多く発生するが,寒候期の方が悪視程になりやすい.日本では,暖候期には主として太平洋沿岸地域における海霧の発生が多く,寒候期には内陸部(特に盆地)に霧の発生が多い.2)で述べた通り,太平洋沿岸 部に比べ,内陸部の盆地で濃い霧の発生頻度が高いため,このような特徴が見られると考えられる.
4)濃霧と霧で,継続時間・消散時刻に違いが見られる.濃霧は,霧よりも,イベントの消散時刻が遅く,継続時間が長くなる.霧の発生時刻には違いは見られなかったことから,濃霧の方が霧イベントの継続時間が長くなるのは,霧が濃く発達し,消散するまでに時間がかかるためと考えられる.特に,山地で継続時間が半日以上持続するイベントは,ほとんどが濃 霧である.山地では,悪天候により観測所が雲に覆われるケースが多いため,持続時間が長く,視程が著しく悪化すると考えられる.
5)日本の気象官署で発生する霧は,全国平均では,放射霧が最も多く,全体の半数を占める. ただし,霧のタイプ別出現割合は,地域によって大きく異なる. 西日本では雨霧, 太平洋沿岸地域では移流霧,内陸部では放射霧の出現割合が高い.
6)1966〜2005年までの40年間では,日本の多くの気象官署で霧日数の減少が見られ,内陸部(特に盆地)で霧日数の減少量が大きい. 一方,太平洋沿岸部では,霧日数の減少量は小さく,中には,霧日数に増加傾向が認められる地点もある.霧日数の減少量の季節性に着目してみると,山地や大都市では年間を通して,平地や盆地では,霧シーズンの初期に,霧日数が顕著に減少している. また,大都市における前半20年の霧日数の季節変化は,現在のもやの季節変化とよく似ていることから,かつて発生していた霧が現在,もや程度にしか発達しなくなったと推察される.

日本で発生する霧および濃霧には,以上のような特徴が見られることが分かった.本研究により,自然地理学的な視点で,日本で発生する霧や濃霧の出現特性についてまとめることできた.

【関係する研究テーマ】降水・雲>霧