応用気象

風力発電のための風況予測

 再生可能エネルギーの一つとして,風を利用した風力発電が注目されています.風力発電量は風速の3乗に比例することから,現在,風速の翌日予測やリアルタイム予測が求められています.また,風力発電が成り立つためには年平均風速でおおよそ6m/s以上必要であることから,風況調査(年平均風速などの調査)も重要です. 地表付近を流れる風は土地起伏や気候の影響を受けやすいため,地点ごとの風の様子を的確に表した風況予測によって風車の最適なパワーマネジメントを発揮できる発電量の予測が求められています.

 領域気象モデルの一つであるWRFモデルは,ウインドファーム全域の風に対する風速予測に使うことができますが,風車周りのピンポイント予測を行うには,より高い空間解像度を持つ風況モデルが必要です.

 日下研究室では気象学・気候学の立場から,精度の高い風況予測の実証研究を行っています.風況予測に基いて設計された風車翼ををテストするための3次元のモデルを開発し,モデル内の流れ場の変化と影響を調査しています.

(文責 渡邊慶一郎)

太陽光発電予測のための日射量予測

 風力発電と共に太陽光発電の利用も広まっており,近年ではメガソーラーと呼ばれる大規模な発電施設も造られています.太陽光発電は晴天や雲天によってその発電量が大きく左右されますが,天候は変えることが出来ませんから,代わりに発電量の予測から供給可能な電力を安定して送り出します.電力量の予測には天候の予測すなわち日射量予測が欠かせません.低気圧や台風が接近すると時間ごとの日射量の変化が大きくなり,場合によっては送電システムに影響を及ぼすため翌日予測に加えてリアルタイム予測が必要です.観測とアルゴリズムから高い精度の予測を行う数値モデルを日下研究室では開発しています.

 予測によって得られる情報から太陽光発電所に最適な立地を求めたり,風力発電と太陽光発電を合わせた予測システムの開発を行う必要があります.日下先生はNEDOや環境省の太陽光発電量予測関係のプロジェクトの委員も務めています.

 また,日下研究室では民間企業と一緒に太陽光発電量予測の研究も行っています.再生可能エネルギー予測では,気象系の研究者のみならず電気系や工学系の研究者,とりわけ,実証研究が必要なことから発電施設を持っている民間企業等と共同で研究することが重要です.

(文責 渡邊慶一郎)

生気象

近年日本では、地球温暖化の影響に加えて、ヒートアイランド現象の効果により、都市部の気温が上昇傾向にあります。
特に夏場は、熱中症患者数が年々増加しており、気温上昇による健康被害の悪化が明らかになっております。

高温化が著しい都市部、特に三大都市圏では健康への影響も大きいと思われますが、都市気温の上昇に伴う将来の健康影響評価は、殆ど行われていないのが現状です。

日下研究室では、領域気候モデルWRFを用いたダウンスケール実験により、三大都市圏の夏季気候の将来予測計算を行い、その結果を用いて、将来の地球温暖化とヒートアイランド現象による気温上昇が、人々の健康にどのような影響を及ぼすか予測・評価しています。


8月の「原則運動禁止」レベル日数

左は観測から得られた現在値、右は力学的ダウンス ケールによって得られた将来予測値。

鈴木パーカー明日香ら (2013, 日本生気象学会雑誌) より
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学術論文など
  • Suzuki-Parker, A., H. Kusaka, 2016: Future projections of labor hours based on WBGT for Tokyo and Osaka, Japan, using multi-period ensemble dynamical downscale simulations. Int. J. Biometol.60(2), DOI:/10.1007/s00841-015-1001-2, 307–310, 2016/02/01 .
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  • Suzuki-Parker, A., H. Kusaka, 2015: Assessment of the impact of metropolitan-scale urban planning scenarios on the moist thermal environment in a warmed climate: A study of the Tokyo metropolitan area using regional climate modeling. Advances in Meteorology, 2015(Article ID 693754), 2015/05/06(謝辞:創生、CCS学祭共同利用) .
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  • 鈴木パーカー明日香, 日下 博幸, 2015: WBGTに基づいた日本の暑熱環境の気候学的調査と領域気候モデルによる将来予測日本生気象学会雑誌, 52(1), 59-72. 2015/01/06(謝辞: 創生) .
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  • Kayaba, M., T. Ihara, H. Kusaka, S. Iizuka, K. Miyamoto, and Y. Honda, 2014: Association between sleep and residential environments in the summertime in Japan. Sleep medicine, 15, 556-564. 2014/02/19(謝辞:S-8, RECCA) .
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  • 岡田牧, 岡田益己, 日下博幸, 2013: 岡田・日下の黒球温度推定式の広域適用とパラメータ調整, 日本ヒートアイランド学会論文集, 8, 13-21. 2013/11/14(謝辞:創生プログラム, RECCA) .
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  • 日下博幸, 飯島奈津美, 井原智彦, 原政之, 高根雄也, 飯塚悟, 2013: 2070年代8月を対象とした東京・名古屋・大阪における熱中症および睡眠困難の将来予測., 日本建築学会環境系論文集, 693, 873-881. 2013/11/01 .
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  • 髙根雄也, 日下博幸, 髙木美彩, 岡田牧, 阿部紫織, 永井徹, 冨士友紀乃, 飯塚悟,2013: 岐阜県多治見市における夏季晴天日の暑熱環境の実態調査と領域気象モデルWRFを用いた予測実験 ー物理モデルと水平解像度に伴う不確実性の検討ー,地理学評論, 86-1, 14-37. 2013/01/01(謝辞:RECCA) .
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  • Kusaka, H., Hara, M., Takane, Y., 2012: Urban climate projection by the WRF model at 3-km horizontal grid increment: Dynamical downscaling and predicting heat stress in the 2070’s August for Tokyo, Osaka, and Nagoya metropolies. J. Meteor. Soc. Japan., 90B, 47-63. 2012/03/27(謝辞:S5) .
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  • 井原智彦, 日下博幸, 原政之, 松橋隆治, 吉田好邦, 2011: 問題比較型影響評価手法を用いた都市気温上昇に伴う軽度の健康影響の推定. 日本建築学会環境系論文集, 76(662), 459-467. 2011/04/01 (謝辞:S5) .
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TV取材・新聞掲載など
  • 日経新聞 研究成果掲載(2012年5月10日)