地形学?

【地形学】

地形学とは?

地表の形態(地形)について、なぜそのようになっているのか、どのように形成されてきたのか、今そこで何が起きているのか、また将来どうなるのか、科学的方法で研究する学問です。

地形学の研究対象は岩、土砂、塩類、大気、水、氷、生物と多様ですし、地形学のフィールドは高山から、河川、海岸、深海底まで、極域から赤道域まで多岐にわたります。

筑波大学地形学分野の活動

地形プロセス学的なアプローチを中心として、さまざまな地形現象(斜面プロセス、周氷河プロセス、堆積プロセスなど)を対象に、現地観測、実験、年代測定、GISといった方法を用いて研究を行っています。

地形学研究室関連実験設備

筑波大学地形学研究室で学ぶ大きなメリットの一つに、「地形プロセス研究のための室内実験設備が、世界中の地形学研究室に類をみないほど充実している」点が挙げられます。岩石風化実験用の恒温恒湿槽、周氷河プロセス実験用の低温恒温恒湿室、斜面崩壊実験用の人工降雨装置、海岸地形実験用の小型平面造波水槽、岩石強度測定用の各種試験機など、研究室が有する各種実験設備のほか、研究室の構成教員が勤務する陸域環境研究センターの設備(河川地形実験用大型・小型水路、海岸・海底実験用の二次元造波水路・複合流水路・振動板装置、各種流速計、高速度カメラ)を活用し、研究を推進しています.

低温恒温恒湿槽

低温恒温恒湿槽 レンガ壁材凍結破壊

岩石の凍結融解、乾燥湿潤、塩類析出による風化・破壊実験、土の凍上実験などを行います。火星や南極の気候条件のシミュレ−ション、石造文化財の破壊と保全に関する実験も行っています。写真の例では、天然記念物「碓氷トンネル」のレンガ壁材の凍結破壊を調べています。

低温恒温恒湿室

低温恒温恒湿室 インボリューション

上記の恒温恒湿槽での実験よりも規模の大きい実験を行います。例えば、実物サイズでの周氷河地形(各種構造土、インボリューション等)のシミュレ−ション実験等を行っています。写真の例では、北上低地で採取したロームと軽石を使用して、最終氷期に形成されたインボリューションの形成機構を調べています。凍結融解の繰り返しに伴って、二層の境界面が変形します。

大型水路(陸域環境研究センター)

大型水路

河川における地形プロセスの研究に用いられています。室内水路としては世界最大級の流水路(長さ160 m,幅4 m,深さ2 m)で、実際の河川と同等のスケールで現象を再現できます。交互砂洲と呼ばれる河川地形を研究するために1977年に建造され、以降30年以上にわたって河川形態や河床形をはじめ、砂礫の混合効果等の研究を行ってきました。最近は河床礫の磨耗実験に使っています。

二次元造波水路(陸域環境研究センター)

二次元造波水路 二次元造波水路

水面波を発生させ、海岸や海底の地形変化を模式的に再現するための装置です。暴浪による一時的な海岸侵食や、海底の微地形(ウェーブリップル)の遷移プロセスなどについて、アナログ・シミュレーションを行っています。写真は、波による単純な一次元振動流がつくるウェーブリップルの断面形と、リップル上の砂の動きを示します。

二方向振動板装置(陸域環境研究センター)

二方向振動板装置 interference ripple

二次元造波水槽と同様、波浪による地形プロセスを研究するための装置です。この装置では、砂が入ったトレイを静水中で複雑に振動させることで、干渉波下で生じる複雑な二次元振動流と砂の相互作用を模式的に再現できます。たとえば、円状の水平軌道を描く二次元振動流下では、複雑な波峰線ネットワークを示すinterference ripple(写真:上方から撮影)が発達します。

高速度カメラ(陸域環境研究センター)

高画質画像を秒間500コマ撮影できるカメラ。撮影された映像は、流体や土砂の挙動の解析に使われます。

地形学研究室の野外観測事例

地形プロセス研究において最も重要なのは、どのような様式・速度で地形が変化しているかを、現地で直接測ることです。そのため、地形学研究室では、日本及び世界各地に観測地を設置し、地形の季節変化や経年変化を観測しています。観測項目には、地形そのものの変化(岩石の風化・侵食、土砂移動、地すべり変位、永久凍土の破壊・変形等)に加えて、原因となる気象・水文要素(気温、地温、降雨、積雪深、土壌水分、地下水位等)が含まれます。

フィールド調査の様子は地形ギャラリ:調査・観測にも。

北極圏スバルバール諸島での周氷河プロセス観測

多角形土 岩石氷河

国際永久凍土学会周氷河環境研究グループの中心プロジェクトとして、スバルバールにモデル実験地を設置し、観測手法や装置の改良・統一化を推進しています。岩石の凍結破壊、ソリフラクション、多角形土の破壊、岩石氷河の変形等、様々な周氷河プロセスを観測しています。左の写真では多角形土の破壊発生と地中の氷楔の発達のモニタリング、右の写真では、岩石氷河内部での永久凍土の変形を調べています。ここでの実験結果に基づいて、地球上に広く観測拠点を展開する計画です。

日本アルプスでの斜面プロセスの観測

テンションクラック ソリフラクション

南アルプスの高山帯で起こっている様々な斜面プロセスを観測し、高山の侵食過程を調べています。写真左では、2004年の岩盤崩壊に伴って発生したテンションクラックの変位を伸縮計や精密測量によって観測し、写真右では、ソリフラクションによる斜面物質移動を自動撮影カメラや地中に埋めた歪みプローブによって観測しています。

足尾山地における流量・土砂流出量の観測

足尾・土砂流出 足尾・2005年土石流

湿潤な森林山地内での谷の形成・侵食プロセスの解明のために、堆積岩(チャート)を基盤とする谷頭流域にて、長期的な流量・土砂流出量のモニタリングを行っています(写真左)。C3流域では、2005年に土石流が発生し、地上型レーザースキャナによる測量から、流路が最大1 m侵食されたことが明らかとなっています(写真右)。

北海道・日高地方の斜面崩壊地における水文観測

日高・表層崩壊 日高・観測機器

2003年8月、北海道・日高地方新冠町付近には台風が接近し豪雨となり、多数の表層崩壊が発生しました(写真左)。この崩壊のメカニズムを解明するために、土層の力学的性質、岩石の風化に対する抵抗性などの調査に平行して、地中水の圧力水頭の連続観測を実施しています(写真右)。

岩石タブレットの野外風化実験

阿武隈・土壌 阿武隈・タブレット

阿武隈山地のカコウ閃緑岩流域内の地上、腐植土壌中、不飽和土層中、飽和土層中(湧水)に、8種類の岩石試料(タブレット)を設置し、定期的にその重量変化を測定しています。写真左はタブレットの入ったネットを土壌中に埋設している様子です。実験は1992年12月28日にスタートし、通算15年が経過しました。飽和土層中での風化(溶解)作用が最も顕著であり、15年間にカコウ閃緑岩(Gd)の重量は平均6.2%、石灰岩(Ls)では40%も減少しました(写真右)。 2008年からは、地温の連続観測と二酸化炭素濃度の定期測定を開始しました。

研究内容の紹介

大学説明会でのポスター[PDFPDF version

研究成果

具体的な研究成果や授業内容は》研究・教育のページへ。

Last update: 2008/12/9. Copyright © 2008 地形学分野 All rights reserved.